伝説墓で、年代は不明だが、奈良時代末期に建立されたとの説がある。
　その墓には、こんな哀しい伝説が伝わっている。大織冠、藤原鎌足が没し、その子、不比良が供養のため興福寺を建立する。一方、唐の高宗皇帝に嫁いでいた鎌足の娘も、父の菩提をとむらいたいと、真光珠という宝玉を船便で送るが、途中で船が暴風雨にあい、宝玉を竜神に奪われてしまう。不比良は都を下り、志度浦でその船を待つのだが、なかなかやってこない。その内に浦の海女と愛し合うようになる。不比良の妻となった海女は、夫の嘆きを知り、奪われた宝玉を取り戻すために、海中に潜るのであった。竜神の隙を見て宝玉を奪い返すが、竜神に気付かれたため、自分の乳房をえぐって隠し、海から戻ってくる。そして、不比良に胸から宝玉を取り出して渡し、にっこりと微笑みながら死んで行ったという。
　巨石をくり抜いて作られた、非常に珍しい墓である。

戒名 ― 職業 ― 没年齢 ― 所在地 ― 墓の方位 ― 正面入り口の方位 ― 玉垣 ― 境石 ― 竿石 ― 石質 ― 墓のスタイル ― 台座 ―

1987年現在の資料に基づいております。

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