「総司は道をあやまったのではありません。彼は他にどの様な人生をゆけばよかったというのです。/剣士として自分自身に忠実に生きたではありませんか。/今の世の中でこれほど純な人がいるのでしょうか?私はあやまりではないと思います。光のように純粋!」(新人物往来社編『沖田総司のすべて』)より。沖田総司の人気は、いまだに消えない。総司が眠っている元麻布の専称寺へ行くと、墓前に香華が絶えないそうである。
新撰組には近藤勇、土方歳三をはじめ、剣の使い手がそろっていた。その中で沖田総司だけが人気があるのが不思議だ。でも彼を異常なブームへと高めたのは、司馬遼太郎作『燃えよ剣』のテレビ化だとされている。
朴訥で寡黙な近藤、冷徹で非情な土方、明るく純情な総司、新撰組三人男、これまで小説に、映画に芝居にと話題にことかくことはないが、総司も薄幸なスタートを切っている。彼は父母の顔すら知らない。父は総司の生まれた翌年に他界、母はその前に死んでいた。十一歳上の姉に育てられていたようなものだった。ただ近藤、土方とちがって白河藩士、武士出身であったことが総司をして他の二人とは趣を異にしていた。剣の道は、近藤勇の誠衛館道場の内弟子だった。そこで代稽古つけるほどの腕前だった。十代の終わりには敵を真剣で倒している。新撰組に入ってからの総司は、近藤勇の左腕として力一杯活躍した。
墓の正面に沖田家の後継者として名前が刻まれているが、新しい。おそらく現代の人が記録をとどめるために改良したのだろう。
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墓地所在地は、変更になっている場合があります。
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