東京多摩霊園で、一番変わった墓が、一平・かの子を祀った墓である。
一平はかの子の夫(漫画家)であるが、その墓は、大阪万博の“太陽の塔”を彫刻した岡本太郎の作品である。
かの子の墓は観音像であり、この二つは別々に建立されているが、異様なムードを漂わせている。
一平・かの子の息子である太郎が、父・一平の墓を自分の彫刻で作り上げた発想もユニークだが、
母・かの子が仏教に身を投じていたから観音像を墓として考えるというのも、世の人々とは発想を異にしている。
これも変わった人物がでる岡本家の伝統であろうか。
かの子は、玉川の大和屋という素封家の令嬢として、赤坂区青山高樹町で生まれた。
跡見高女卒、和歌は十四・五歳の頃から雑誌『明星』に発表していた。
二十三歳で岡本一平画伯と結婚、渡欧。
この頃、仏教哲学を研究し始める。歌集では『浴身』『鶴は病みき』『母子叙情』宗教書では『観音経を語る』があり、
小説では『生々流転』等々がある。
かの子の伝記風小説は、作家・瀬戸内晴美が『かの子撩乱』を書いていて興味深い。
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墓地所在地は、変更になっている場合があります。
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